書評
書評、じゃなくて、感想文でもなくて、ちょっとメモ。「新潮」5月号に出口裕弘「坂口安吾 百歳の異端児」というカキモノが掲載されている。このカキモノ自体は、安吾の著作からの引用が山ほどであり、地の文が少なくて、ちょっと気に入らないのだけど、坂口…
泪橋と聞けば、「おお、あしたのジョーだな!!」、あるいは「よど号事件の犯人だな。彼らが、俺らはゴルゴ13になる、と叫ばなかったのはせめてもの矜持の発露であろうな」というように、「あしたのジョー」の代名詞の一つである。しかし、出典は古く白土三…
ポリティカル・コンパスで、我が身を計測したところ、 政治的な右・左度(保守・リベラル度) 2 経済的な右・左度(市場信頼派・政府介入派) −3.3 あなたの分類は「保守左派」 です。 と、なんとも中途半端な結果で、日和見な自分が見事表れていることに、ガ…
堕落論 (角川文庫クラシックス)作者: 坂口安吾出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1957/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (65件) を見る 業界、じゃなくて界隈で、「見えないトラバ」というのが流行っているみたいなので、流行…
ろくでなしの歌―知られざる巨匠作家たちの素顔作者: 福田和也出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2000/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 読了。天才とナントカは紙一重という生き方が、これでもか!と提出される。中でも、ド…
今、読んでいる小説が、ディープで、ヘヴィで、ホットで、土塊の臭いのする渾身の面白さなのです。こういう小説を読み終えた後は、「(´・ω・`)<ふぅ・・・」、と脱力状態に襲われることが、経験でわかっています。そこで、大きな町に出向く用事があったので、…
戦後創成期ミステリ日記作者: 紀田順一郎出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2006/04メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (10件) を見る 紀田順一郎。ミステリ小説「古本街の殺人」は、割と面白く呼んだ記憶がある。割と面白くということで、そ…
私の嫌いなソフトバンクが、新書ブームに参入しての初回配本の一冊。ソフトバンク新書002とあり、999冊くらいまで枠取り皮算用しているソフトバンク。そんな、バイアスは横丁に置いておいて、本題。 本書の白眉は、大きく二点ある。まずは、これこそが肝であ…
最終7ページの衝撃!比類なき傑作サスペンス と、帯にあり、未読の著者本だったけど、中身を読まずして購入。衝撃は、「最終7ページ」はるか以前にあり、予期しない展開に驚きおののき、本をブン投げたくなった。こういう展開なのかよ!!って。この辺は、…
アダルトなビデオを点けっ放しで眠ってしまったダメな私ですが、今日からクールビズみたいです。いえ、春夏秋冬、ネクタイを取っ払って仕事に励んで、周囲から浮きまくっている私なので、正直、クールにビズる必要は無いのですが。 さて、クールビズというと…
「クロスローダー*1というのは、われわれとは世界観がちがうんだ」自宅のキッチンで隣家の住人と夕食を食べながら、トニーヴァレンタインは言った。 冒頭の引用である。これを読んだ私は、「おっと、古き良き英国田園ミステリが始まるのかな?」と思った。か…
一年の計は元日にあり。 で、今は三月弥生ですが・・・。このところ、気分の落ち込みが激しく、ノートにつけている日記帳面で、”一年の計”を振り返ってみました。うむ、流石に新年早々だけあって、荒ぶる計が列記されていましてね。全然、実行の気配すらない…
このところ生臭い”堀江メール”モノについて、続けて書いてきたので、少し爽やかな話を一つ。ちょうど一年くらい前にエントリで触れた大和総研のレポート。好評だったのか(あ、私のエントリではなくて、大和総研のレポートが、ですね)、一冊の本になりまし…
優しさの具体例ですが、キーワードは、総表現社会への希望です。総表現社会というのは、いつの時代に起こっても不思議のない社会であり、実際に起こっていたでしょう。しかし、インターネットの発達によって、伝達速度・空間が爆発的に向上した。アマチュア…
前回のつづきです。 本書が醸し出す、もう一つの「優しさ」について、考えてみましょう。本書は、オプティミズム(楽観主義)という優しさに満ち溢れているのです。いや、満ち溢れているというよりもオプティミズムが、根幹であり背骨となっています。そして…
web2.0ってなんだろう? 小首を傾げて、「そうだ!ネットがあるよね!!」と大海に漕ぎ出してみて、こんな特集に出会ったのだけども、「スクロールして読んでも、よくわからないよ。困ったなあ・・・」という人に、優しくweb2.0なるものを教えてくれる入門書…
エンターテイメントを書かせたら、居並ぶ者なき浅田ワールドである。彼のワールドにおいては、ジャンルがはっきりしている。本作品は、幕末物の系譜に連なり、この系譜においては、なんといっても「壬生義士伝」があまりに燦然と輝いており、本作品が小粒な…
荻原浩「明日の記憶」を読んで、記憶について考えさせられた。 あらすじは、物忘れが気になり始めた普通の会社員が、若年性アルツハイマーと診断され、病状の進行とともに東西南北する物語である(噛み過ぎて、味気の失せたガムを噛むような拙い要約で非常に…