マック・マクシェーン「雨の午後の降霊会」(創元推理文庫)

雨の午後の降霊会 (創元推理文庫)最終7ページの衝撃!比類なき傑作サスペンス

  と、帯にあり、未読の著者本だったけど、中身を読まずして購入。衝撃は、「最終7ページ」はるか以前にあり、予期しない展開に驚きおののき、本をブン投げたくなった。こういう展開なのかよ!!って。この辺は、ミステリモノなので、言葉を濁して書かざるを得ないのだが、なにしろ語り口調のユーモアは抜群。訳者の力もあるだろうから、名前を書いておくと、北澤和彦さん。

  さて、お待ちかねの「最終7ページの衝撃」。もちろん読んでのお楽しみなのだけど、決してミステリ小説としての大どんでん返しではない。そういう意味合いにおいて、帯の惹句は看板に偽りアリなのだ。で、普通のミステリ読者は怒り狂ってしまう、かというとそうでもないと想像される。ふむ。衝撃というか、涙が溢れる感動というか、哀切さ。ココhttp://d.hatena.ne.jp/keroyaning2/20051230で書いたオースン・スコット・カード「消えた少年たち」の感動とダブル。ある種の狂気と邪気の無さとの鮮烈な対比が、怖ろしくもあり邪気の無さに胸が撃たれる物語です。ただ、全体を通じてのプロットは、先が読める簡単なものであり(そこが良いところでもあるのだけど)、本格ミステリ原理派の評価は厳しいかな?

  

  ところで、冒頭に未読の著者であるということを書きました。解説を読むと、52編の物語をモノしながら、本作が唯一邦訳された作品であるとのこと。その中の、スパイ小説物「アップルトン・ポーター」物は、是非とも読んで見たいと思います。

で、Amazonを調べてみると、ありましたよ!!

Apple Spy in the Sky

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  名義は、Marc Lovellとありますが、マック・マクシェーンの別名義だそうです。原文でユーモアを理解するのは難しそうだけど、夏休みにチャレンジしてみようかな(´・ω・`)

(本稿以上)