梅田望夫「ウェブ進化論」〜その一:優しさの在処

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)  web2.0ってなんだろう? 
  小首を傾げて、「そうだ!ネットがあるよね!!」と大海に漕ぎ出してみて、こんな特集に出会ったのだけども、「スクロールして読んでも、よくわからないよ。困ったなあ・・・」という人に、優しくweb2.0なるものを教えてくれる入門書です。でも、ネット上で、情報探索の旅に出て、理解できずに書物の世界に立ち返るという行動(私のことですね・・・)自体が、そもそもweb2.0からほど遠い人種的なスタイルであるよね、、、という矛盾はさておきまして。


  さて、本書がweb2.0というクールに響く潮流を読み解くに、何故に「優しく」感じられるのだろうか?その理由、大きく分けて二つあると思います。

  第一に、不可思議な技術タームを俎上に載せて、それぞれの本質を解説・提示して、web2.0という抽象的ゴールに到達するという構成です。すなわち、ロングテールRSSオープンソースSNSという”呪術的”なる言葉、のみならず、googleAmazonのシステムにおいて現出したパラダイム転換を説き、それを積み上げること。いわば、帰納法的に、「色々あるけれども、それぞれを考えて導出された理解がweb2.0なのだよ」という論法です。
  これは、非常にシスティマティックで分りやすいです。いきなり、「web2.0とはナニかね?」と問いかけて、自己完結的に「それは、こういうコトでアルよ!」と結語されても困ってしまいます。
  例を挙げると、冒険小説とはなんぞや?と自問した時、的確なる立像はもちろん、獏としたイメージすら思い浮かばないと思います。そこで、疑問を放擲して安寧に身を委ねることなく、更なる探求を志す事態を考えてみましょう。
  A・マクリーンやJ・ヒギンス等の教科書を読み漁り、D・フランシスに辿り着き、「ああ、これが世界的冒険小説の有様の一つなのだな」と頷く。そして、日本のメジャーどころの大沢在昌接触して、味わい深い志水辰夫の世界に首をつっこみ、さきほどの「頷き」に加えて、再び大きく頷く。その積み重ねがあり、自分の中で「冒険小説とは、こうなのだ」と頓悟する。

  例えが長くなってしまいましたが、体験的理解の集積から、いつの間にか一人歩きを始めて、一般名詞化した現象(=web2.0)の理解の一助とする。それが、本書の「優しさ」の第一歩です。次回、もう一つの優しさを考えてみたいと思います。

(本稿つづく)


(注意!!)
下のリンクから本書を購入されると、Amazonさんから私に3%(だったかな?)のお金をいただけてしまい、私がお金持ちになってしまうのでご注意ください。。。(参照)