?[音楽]? 泪橋、随想。

  泪橋と聞けば、「おお、あしたのジョーだな!!」、あるいは「よど号事件の犯人だな。彼らが、俺らはゴルゴ13になる、と叫ばなかったのはせめてもの矜持の発露であろうな」というように、「あしたのジョー」の代名詞の一つである。しかし、出典は古く白土三平『忍法秘話参「シジマ」』所収の「松喰虫」という短編にも出てくる。

千住
泪橋の下にてまつ
尾張天鬼

  本作品で柳生十衛兵が対決するのは、「モルグ街の殺人」的、脅威の秘術を用いる(持ちいらざるを得ない?)敵であり、1960年の作品であることを考えると、社会学的考察に値する短編である。

  だがしかし、野狐禅が歌う「泪橋」は、白土作品からではなく、明らかにちばてつやあしたのジョー」からの影響であろう。サビのフレーズは、「泪橋 逆さに渡ろう・・・・ いつの日か」であり、ここだけを聴くと、「作詞・作曲の竹原ピストルさんは、大学時代にボクサーだったから、あしたのジョーを好きだったんだろうな」ということを想起させる、チンカスな音楽でしかない。軽快なリズムに乗せた音楽性はもちろん有しているが。

  しかしだな、以下に挿入される歌詞を読んでみろ。

神様に駄々をこねるような バカにならないように
諦めることを知らない バカになろう
失うものは何もないと 誇らしげに語るような バカにならないように
守るべきもののために 全てを捨てられるバカになろう

  「あしたのジョー」を越えた「泪橋」であろう、なんてタコなことはいわん。だがしかし、胸撃つ心の衝撃というと陳腐だから言い換えると、「私も泪橋を逆さに渡ろうよ(´・ω・`)」と思ったわけだ。まあ、ぶっちゃけ、逆さに渡ることが、俺の未来に相応しいのかしらんが、人間道徳的には、おそらくは正しかろうというくらいの冷静さは持ち合わせている。ギムレットには早くなかろうが、奈落には早すぎってことだ。
  

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(本稿以上)