クツクツと笑う。

  あの歌を思い出そうと、ギターを必死にガリガリ弾きながら、叫んでいたのだが、結局思い出せなかった。思い出せないということは、それだけの曲であったのか、今の私にはふさわしからぬ曲であろうことだよな、と達観した私は、ギターを大切にしまい、眠った。目が覚めたら、外が明るく、風は涼しく、ここは何処だ?と思うことしばし。もちろん布団の上で覚醒したわけだが、これが公園のベンチであろうと、歌舞伎町の路上であったとしても、起きた状況は変わらないよ、と悲しいわけではなく、なんか当たり前の日常に思えた。そう考えたとたん、クツクツと笑いがこみ上げてきた。