歪んだ道の先にある欲望

  暑くてたまらん。しかし、頭をかきむしること多き私なので、散髪屋に行き、バッサリと切り刻んでもらった。「サービスフェアなんで、すっきりリンスナントカが300円ですが、如何ですか?」なんて聞きやがる。beforeサボテン、afterキウイな俺に、「すっきりリンス」なんぞ、いるわけねえだろ、タコ!と普段の私なら、右手で追い払うところだったけど、「ちょっとスッキリさせて貰いたいから頼むよ」と頼んだ。

  で、散髪前に、もじゃもじゃ頭を洗うのだけど普段より長く、なんだかスッキリしてきた。横背の無防備の姿であり、敵が発見したら即座にヤラれてしまう姿でありながらも(あ、このへん「仁義なき戦い」の一場面ね)、うつらうつら気持ちよいことなんのって。

  「じゃあ、こちへどうぞ!」って、髪切り台に誘導されながらもうつらうつらな気分は抜けず、眉毛を切りそろえてる姉さんにぶつからんように気をつけながら、用意された席に着席した。また、うつらうつらと妄想が目まぐるしく走馬灯のように巡る中眼を開けると、介錯人はしっかりと仕事をしてくれたみたいで、サボテン→キウイ頭の出来上がり。
  
  「これでよろしいでしょうかね?」って聞くものだけど、私は、なんでも構わんよ!と投げやりに思いながら「グッドな出来栄えです、あんがと!」って声をかけて、店を出た。まとわりつく熱気。

  隣のチャチなスーパーに入り、食欲無い我が腹に詰め込むべく、鉄火丼やら、豚肉やら、牛乳を購入。部屋の換気扇はブッ壊れているが、気にすることなく、ゴーヤチャンプルでも食って力をつけなくてはならない、と帰り道、歪んで見える道筋を眺めながら思った。

(本稿以上)