あなたの履歴書:小松左京さん

  久しぶりに、新聞記事からの話題です。日本経済新聞の「私の履歴書」にSF作家?小松左京さんが、履歴を披露されています。現在、⑪ということで、題して「共産党」という題名で、京都大学入学辺りに差し掛かっているところです。

  小松左京といえば、映画「日本沈没」が公開間近?(参照)ということで、再び時の人になっているようで。私は、SF作家小松左京で思い出すのは、昔、霧に包まれた東京を舞台にした小説を読んでいたとき、SF好きの兄に「小松左京なんて読んでるようじゃ阿呆だなwラリイ・ニーヴンを読め!!」と、小松否定のトラウマです。まあ、その後、イロエロと読んだのですが、トラウマの影響もシンシンとあったのでしょうが、あまり感銘を受けた記憶がありません。

  私にとっての小松左京。それは、三浦浩「記憶の中の青春」という本に登場する小松左京です。三浦浩といえば、ハードボイルド小説(もどき)作家の三浦を思い出すのですが、ココを見ると、結構な経歴の持ち主なのですね。

東京生まれ。京都帝国大学文学部卒。サンケイ新聞社入社。社会部、文化部記者から、文化面編集部長、論説委員を歴任。ノースウェスタン大学、オックスフォード大学に留学経験もある。退職後に作家へ。

  華麗な経歴なのですが、上記「記憶の中の青春」、これはなんというかオドロオドロシイまでの怨念・呪詛が滲み出ている本です。昔に読んだ本なので、記憶は青春なのですが、たしか小松左京に対する恨みは、心冷え切るような筆致で書かれていたように思います。他にも桑原武夫高橋和巳という名だたる人物が登場し、彼らが絡み合う姿は、読者としては、大変興味深く思ったものです。



  さて、私の履歴書に戻ります。記事から引用しましょう。

細胞の活動は次第に先鋭化していくので、幹部に「少し待ってくれ。もっと共産主義を勉強したい」と言うと、彼は名言を吐いた。「歴史の必然の展開は君の理解を待っておらん!!」。そんなある日、文学サークル「京大作家集団」を乗っ取れと指令が出て、

  前半は、はぁはぁ・・なのですが、後半部分。「「京大作家集団」を乗っ取れと指令が出て」、これは興味深い記述です。前掲書「記憶の中の青春」では、その辺の生臭さが中心主題ではあるのですが、これはあくまで対する三浦浩の目からの記述。そこには、小松が”指令を受けて”という記述はなかったように思います。なるほど、そういう裏面があったのだなあ、と感慨深い履歴書です。

  最後に、ちょっと考察してみましょう。今朝の「私の履歴書」の最後を締め括る言葉、先の引用のそのままの続きですが、引用します。

それが人生を変える出会いを生む。

  ふむふむ。順当なところでは、高橋和巳さんが次の回(明日の朝刊)の主役でしょう。しかし、出会いの相手として小松左京さんが述べる人物が、三浦浩であったならば・・・。凄いことになりそうな予感。多分ないでしょうけどね(´・ω・`)。

(本稿以上)