春らしく考えて!

空は、今日も、青いか?  春分の日を過ぎて、暖かくなってきましたね。それもそのはず、季節は春。冬の汗をたっぷり吸って、モワッ!と臭う重たいコート。早くクリーニングに出して、クローゼットに仕舞い込みたいものです。あと、去年の晩秋には、洗い立てで馥郁な香りすら感じられた冬の布団。越冬した今では、なんだか黒ずんで気持ち悪いので、これも早く洗濯して、押入れに片してしまいたいですねえ。


  いきなりドロドロした話で、失礼しました。季節は春。フリーペーパーの親玉格であるR30*1じゃなくて、R25に春らしいエッセイがありました。売れっ子作家石田衣良氏の連載物『空は、今日も、青いか?』で、題して「新しい街、新しい生活」です。引用してみましょう。

読者のなかにも、就職や転勤などで、この春新生活をスタートさせる人が多いかもしれない。新しい土地で、ひとりきりで再出発する。若く、希望にあふれた心で。そういうのは、なんだかロマンチックで、いいものだ。

  そうか、春とは新しい生活が始まる人が多い季節なのですね。当たり前といえば当たり前だけど、忘れていました。区切りの春*2。思えば、希望に満ち溢れて小学校に入学し、そして卒業するのも春。中学校以降の各学校も同様ですね。そして、就職形態も変わってきましたが、大部分の就職も春が中心だと思います。
  このように、ある種舞台は、春に始まり、春に終わります。この当然至極のことを失念していたのは何故か?自分の身を振り返ってみると、春に学校を卒業して、春に就職して、そろそろ十年が経ちます。その間、引越しは一回ありましたが、転勤というような転機はありませんでした。いわば、舞台装置としての祭が欠落していた生活。。
  ・・・うむ、なんだか寂しくなってしまいました。そんな私を励ますように、上記エッセイは続きます。

春に新しく1年を始めるという習慣は、やはり日本の四季にぴたりあっていると思う。(中略)あたたかさが増していく今ごろの時期なら、すごくまえむきな計画が立てられそうな気がするではないか。

  たしかに、冬の寒さに身も心も縮こまり、眼前に積み上げられた雪塊を見ながら、一年の計を考えるよりも明るい計が立てられそうですね。私も少し考えてみました。しかし、「行き先も決まっていないけど、発作的に会社を辞めてしまおうかね?」と、ちょっとネガティブ落下的であったり、あるいは、「ドストエフスキー全集を読み直そう!」とか、あまり春らしくないことに向かってしまいまして。
  まだまだ私の心は、厳冬期のようです。桜が咲くのを眺めながら、春らしく明るく、前向きな計画を立てたいと思う春景色なこの頃です。

(本稿以上)

*1:いわゆるアルファなブロガーさんです。彼の速記力を存分に発揮したエントリは、ブログ世界で、重宝されています。ちなみに、私が彼のブログ・コメント欄へ書き込みを行うと、「IPアドレス制限により、コメントを規制されました。」とつれなく表示されます。大したことを書いたわけじゃないのだけど、厳しい人なのかもしれませんね^^。

*2:春といえば、西行の「ねがはくは花のもとにて春死なむ そのきさらぎの望月の頃」という歌が有名ですね。もちろん心は、「桜ってすばらしいなあ!」という感嘆ですが、「最後の区切り」は春がいいなあ、・・・と相変わらずコジツケ好きの私です。西行については、こちらのサイトに詳しいです。