WBC、日韓戦に見た和の心
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が熱い。
しかし、ヒネクレン坊の私には、いくつか気になる点がある。些細なところでは、「なぜ、クラシックなのか?クラシック・ラガー・ビールを端緒とする昭和レトロブームの世界展開だろうかね?」というのは置いておいて。大きく気になるのは、苦渋の思いで出場を辞退した松井選手へのバッシング。
清原選手が、「世界の王監督が、頭を下げたのに、なぜ出場しないのだろうか?」って、なんでお前が、ここに出てくるんじゃ!と思ってみたり。あと、変則的なところでは、何かに憑かれたかのようなイチローの饒舌*1。先般のドラマ出演以来、彼の行動は、いささか癲狂であり、ナニかあるのでは?と勘ぐってしまう。それら全てを含めて、WBCが熱い。ここで、先日行われた3月19日の日韓戦の勝利を振り返ってみよう。
-
- -
静々シンシンと行われていた(らしい)投手戦が、私が、テレビを点けた途端に、俄然、熱気を帯びた日本の攻撃に様変わりした。先鋒一番槍を担ぐ葉は、松中選手。松中おじさんの目も覚めるような打球は、右翼線を破り、怪我をしている(らしい)足を引きずりながら激走して、ヘッド・スライディング。二塁ベースを叩く叩く!
続いて、タムラという茶髪がメットから飛び出した選手登場。解説席を唸らせるまでに予定調和な送りバントの大失敗。その後、代打に立つのは不振の福留選手。正直、私は「きっと打つに違いない!」と思っていたものだが(これ本当)、沈みかけたチームの雰囲気を一掃するようなツーラン・ホームラン!一番喜んだのは、ヘボったタムラ選手であろう。もし、試合に負けていたら、A級戦犯に祭り上げられていただろうから。
さて、このタムラ選手。解説者だか、アナウンサーだかの言によると、「野球に必要なファイブ・ツール*2に加えて、僕にはファッション選手がありますから、シックスツール・プレイヤーですよ、アハハハh!」と大口叩くようなヤツらしい。私の印象も、「なんかデッカイ首輪をつけてキドりやがって、でもカッコイイ顔してやがるな!」という軽いものだった。だがしかし、こういうイケメン茶髪ヤロウっていうのは、得てして調子に乗せると怖いものだ、ということを韓国選手は文化的に知らなかったのだろう。バント失敗の次打席、火を噴き上げたような大波に乗ってホームラン。他人事ながら、嬉しかったね。皮肉ではなくて、純日本的な流される美を見た。波に乗って、相手を一気呵成に叩き潰す美学。
ん?日本的な美学?ここで、ふと閃いた。この試合、日本人が泣き喜ぶツボを見事なまでに体現した試合だったのではなかろうか?以下、時代劇風に考えてみよう。敵は、なにかと遺恨が喧伝される韓国という舞台設定で、戦いは幕を開ける。
手負いの老将(松中)が必死に走り活路を拓く。続いて、剣の腕は存分にありながら、不振をかこち蟄居を命じられていた侍(福留)が汚名返上を遂げる。勝利の雄叫びを上げる自軍に対して、敵方は次に出てきたボンボン侍(小笠原)に死球を当てる。普通なら怒り狂うであろうところを、ボンボン侍は忍の一字をもって耐える。勝ち戦の流れを断ち切らないために。そして、耐えた彼の仇討ちとばかりに、無名の足軽たちが、敵に襲いかかる。この回九人目の侍として登場するは、実力知名度抜群で沖田総司を連想させる細身の侍イチロー。鮮やかにクリーン・ヒットを放ちて、敵に引導を渡す・・・。テンテケテンテン。雌雄決したおまけは、先ほど詳説したタムラの復権ホームラン。
なにはともあれ、次なる敵は、赤い稲妻キューバ。頑張れ!!
(本稿以上)