公募増資ブームは、ファン・ゴッホの夢をみるか?

ゴッホ (講談社学術文庫) この週末のブログ世界では、下の記事を契機に、ボーダフォンソフトバンクなネタが大いに語られていました。

Vodafone、ソフトバンクへの日本法人売却交渉を認める

 「買収金額は1兆円だ」、「いや2兆円という話もあるぞ!」、「yahoo!BBの赤い落下傘部隊再結集か!?」、「血で血を洗う携帯戦争地獄絵図の始まりだ!」「LBOの魔法で資金調達するのか?」等々(注)。
 私の携帯電話は、パソコンで言うところのenterキーみたいなボタンが不調で、メールを打つのも、アラーム時刻を変えるのにも四苦八苦しています。したがって、番号ポータビリティMNPというそうな)が、どんなものか知らんが、とりあえず使えるモノに変えなくちゃなあ、というレベルなので、携帯戦争でもなんでもヤルことヤッちゃってくれよ、というのが正直な感想です。


  さて、資金調達の話。日経金融新聞平成18年3月2日付に、「危うい公募増資ラッシュ〜バブル期の悪夢ちらつく」というコラムが掲載されていました。一部引用してみますと、

これまで財務リストラ一辺倒だった企業も前向きな設備投資やM&Aのため、公募増資での資金調達に踏み切り始めている。(中略)一株利益の希薄化を嫌う投資家の売りで株価が急落することを恐れ、公募増資には慎重だった。

 M&Aのため、というのはライブドア事件のこともあり、ちょっとなあ、と思いますが、「前向きな設備投資のため」にというのは、明るい未来が感じられますね。そういえばライブドア事件の陰に隠れて、気配が薄くなっていた楽天もこの間1000億円超の公募増資を発表したものです。同記事は、続けます。

なぜか十六年ぶりという企業が目立つ。十六年前と言えば、1990年前後のまさにバブル期。

 この記事には表が掲載されており、たしかに16年前(1990年)に普通株公募を行った企業は多いなあ、と思います。例えば、三井住友フィナンシャルグループ(長いなあ)は住友銀行時代、三井物産愛媛銀行等々。
 三井物産の発行額は、なんと2135億円です。先の楽天1000億円にしても、凄い金額ですね。それだけの金額を世間から集めてしまうというのです。ということは、世間では、それくらいチョロイよ!というくらいのお金が溢れている、余っていると言うことですね。


  ところで、歴史が好きな私は、「十六年前の1990年ってどんな年かね?」と思い便利な年表で調べてみました。まず【世相】バブル経済崩壊という表示が飛び込んできて、「あれれ?」って思ったのですが、経済の項目を見てみると、

4月:三菱地所が米ロックフェラービルを買収。
5月:ゴッホの名画を史上最高の125億円で落札。

 おお、やっぱりお金は(ある所には)あったのですね。冒頭に述べたソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収。これは、もちろん経営戦略的な目的の「買物」なのでしょうが、コジツケ好きな私は、十六年前の状況と被ってしまいます。少し快復してきたという日本経済。失速低迷しないといいですね。

(本稿以上)

(注)この問題に関する現在の論調については、R30さんのエントリが、交通整理されていて分りやすいですよ。