明るさにヤラれた怪文書〜”堀江メール”の悲哀

怪文書〈2〉業界別・テーマ別編 (光文社新書) 平成18年2月16日、衆議院予算委員会で、火蓋が切られた”堀江メール”問題。ライブドアへの強制捜査堀江貴文ら幹部の逮捕と電光石火な第一幕が終わり、「すわ!第二幕”カタストロフ(瓦解)”の章の始まりか!?」と思ったのも束の間。現在のところ幕間狂言に終わりそうな情勢で・・・。堀江メール原文は、コチラ


  当初の盛り上がりは、風雲急を告げ、政局になだれ込むかに見えた。マンション偽装事件で、一躍、名を挙げた民主党馬淵議員は、自身のブログで、興奮気味に叫んでいる。

永田代議士はメールを読み上げる。
(中略)
第1位委員室は一瞬静まり返る。
爆弾、炸裂!!!
記者さんたちが色めき立つ。
大変なことがあらわになってきた。


 第1位委員室というのは、イージーな書き間違えだろうが、期せずして興奮をリアリティに伝えている(かも?)。また、「一瞬静まり返る」というのも、テレビ映像で観ると、事実と異なり「おおっ!!」というどよめきが漏れていた。荒探しはどうでもヨイわけで、たしかに爆弾はメガトン級に炸裂した。

  問題の委員会閉会後、渦中の武部幹事長の宙空を泳ぐ目。普段の根拠無くとも押し出す力強さは影を潜めていた。それに対する永田寿康議員(注1)は、記者会見場で自信満々で、ヤンチャ小僧が脂ぎった大人を追及する構図には、後光が差していた(堀江vs.フジテレビ戦争がデジャビュするのいうのは、さておき・・・)

  ところが、「爆弾、炸裂!!!」直後から、メールの真偽について、匿名掲示板で、各人独自に調査を行って、CIAもビックリな調査能力を発揮して、情報を集積した。(注2)先日触れた「ウェブ進化論」の唱える”不特定多数”の共同作業たる”オープンソース”現象が花開き、実ったように、思われたが・・・。


  さて、ここからが本題。怪文書の本質とは何だろうか?それは、静かな湖面に投じられた小石だ。したがって、怪文書という物理的なブツの真偽を問われてはいけない。ブツはどうでもいい。怪文書は、中身が第一義として存在する。そして、中身が真だろうが、偽だろうが構わない。中身が流出して、裏通りを一人闊歩するうちに、雪ダルマ式に威力を増大させていく。それが、怪文書の持つ神話性である。
  肝心なのは、怪異な”場”で蠢くこと。それを民主党はTPOをわきまえず、衆議院予算委員会というsunnyside streetに持ち出したことが、民主党の敗因であり、今回のドタバタ騒動が起こるべくして起こった所以である。


(注1)wikipedia永田議員の項目、毎日のように賛否両論が戦われており、書き換え合戦になっているようです。

(注2)調査結果は、うーん、CIAもビックリのトンデモな部分もあったようです。「2ちゃんねらーは敵に回すと怖ろしいが、味方に付けると頼りない('A`)」という言葉もありました。

(本稿以上)

追記:以上は、現段階における結果論的な見方であり、以前の感想はコチラに綴っていました。