ブログ世界の終焉

  と、御大層なタイトルを付けましたが、”泥濘に汚れた”web2.0的文脈でいうところの「ブログ世界」の終焉話ではありません。ブログには、「あちら側」と「こちら側」という性格を有するものでアル、ということを以前書きましたが、「こちら側」(=個人的側面)におけるブログの終焉について考えてみました。

  きっかけは、私の好きだった「分裂勘違い君劇場」が、「休館のお知らせ」と題して、お休みに入ることを宣言されてしまったことです。

なんか飽きてきたので、この劇場の新規コンテンツ上映はしばらくお休みさせていただきます。(というか、また別の面白いことを見つけたので、しばらくはそっちで遊びます。)

  うーん、残念。休館理由は、飽きてきたというよりも、別の面白いことが生まれたに重点があるのかな、と思います。別の面白いことがナニなのかわかりませんが、ブログという仮想世界から、もしかすると現実世界への前進(=回帰)なのかもしれませんね。


  そうです。ブログなんかを書いているよりも、友人と夢を語り合ったり、ギターの練習に忘我して、「この本、「[ギターマガジン] なんちゃってアコースティックブルース CD付 (リットーミュージック・ムック)」って題名だけど、全然、なんちゃってじゃないじゃないか!すげえ難しいぞ、おいっ!」って、四苦八苦する方が、ずっと健康的でしょう。

  ブログ。考えてみれば、怖ろしいツールです。時として、人間のあるべき姿を歪めてしまいます。ちょっと知的な風味を伴っているところが曲者で、「お主も罪深いモノじゃのお」、と呑気に構えていては、絡み取られてしまいます。


  さて、もう一つブログ終焉の例を挙げてみましょう。一時期、絶大な人気を博した「むなぐるま」の最後?は、次のように締め括られます。

去年11月に一度休養宣言をしてから、しばらく見切り発車で続けてきたのですが、結局やめることにしました。最大の理由は、本業の方がなかなか落ち着かないこと。今秋からの仕事も決まっていないですし、長期的なキャリアの見通しも、なかなか先が見えない状況です。

  ・・・。切込隊長極東ブログトラックバックを通じて、名残惜しげな声明を発しておられます。そして、コメント欄でも「ご苦労様」、「ありがとう御座いました」という感謝の言葉が溢れています。そして、タイムスタンプに目を向けてみると、March 23, 2005=2005年3月23日。チンピラな私が、ブログというものを書き始めたのは、2005年3月21日。いえ、畏れ多くも因縁を感じるわけではありません。私みたいな市井の人間ブログが、ブログ世界にドッと混入した、ちょうどその時期に閉鎖(正確には休養ですが)されたことに感慨を覚えたのです。

  そして、私の好きなhankakueisuuさんは、荒れるブログの作り方【燃えないブログの作り方】の最後で、らしからぬ書きぶりで述べられています。

ブログがブロガーにもたらす見返りの量は非常に少い。
ブログはハイ労力ローリターンな娯楽である。
ブログの管理と更新が趣味です、生き甲斐です、
などというのは貧しい時間の使い方に他ならない。

もっと幸せな時間の使い方は無数に存在するのである。

  全くその通りです。ブログをシコシコ書くよりも、素敵な女性と黄昏時の公園ベンチで、静かな笑みを交わしながら、「沈みゆく夕陽が眩しいねえ」「でも綺麗だよねえ」と以心伝心する方が、ずっと幸せな時間ですよね。でも、私はまだまだブログを書かねばならないだろうと思う、雨の朝。

(本稿以上)